FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ヒミズ (2011)

★★★★★★★☆☆☆


―あらすじ―
15歳の孤独な少年、住田祐一の夢は、誰にも
迷惑を掛けずに生きる平凡な大人になること。
そんな住田にクラスメイトの茶沢景子は好意を
抱き、住田の実家である貸しボート屋を手伝う
など、積極的にアプローチする。
そんな中、蒸発していた父親が戻ってきて…。

監督・脚本は『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』園子温
アクション監督に『地獄甲子園』『DEAD BALL』坂口拓
音楽は原田智英
音響効果は齋藤昌利
主演は染谷将太二階堂ふみ
共演は渡辺哲、諏訪太朗、川屋せっちん、吹越満、神楽坂恵、
光石研、渡辺真起子、モト冬樹、黒沢あすか、堀部圭亮
など。
古谷実の同名コミックを実写映画化した青春ドラマ。

himizu01.jpg

映画化もされた『ピンポン』の作者・松本大洋
考える「青春」は文字通りの「青い春」である。
『行け!稲中卓球部』で有名な、本作の原作者でもある
古谷実からは、「青春」とは残酷な憂鬱期の側面を持つ
という事を思い知らされる。

hide「DICE」の様に、“目の前に在る全てのモノが
化け物に見える”
状態と言えるだろう。
そういえば、原作でも主人公・住田の前に化け物が
現れては嘲るかの如き皮肉的な存在感を擁していた。

が、本作が面白かった事を認めつつも、原作とは別物と
捉える方がより楽しめる
のではないかと思われる。
それは、漫画原作の実写映画化の困難さを考え、それを
思うと十分に平均値は有りながらも、期待値には届かな
かったという現実が在るからこそ、である。

2011年3月11日の、戦後最大の国難とも言うべき
“東日本大震災”を背景に据えるという設定の改変。
それにより、hide「DOUBT」の如き“自己嫌悪の
ジェリーフィッシュ”
な主人公・住田は、閉塞的状況
から抜け出せず終いだった運命から、希望在る未来を
描く事が出来る様になるのだ。

不幸な状況下で、本人すら無気力、そんなクソ塗れの
個人に焦点を当てる、というか個に固執している原作
余りにパーソナルな憂鬱を掘り下げては暴き出していた。
そこには、それによる常闇の如き重苦しさに包まれた
どうしようもない圧迫感が在ったのだが、映画版では
それが無くなってしまった、と言っても過言ではない。

himizu02.jpg

変態監督(!?)園子温なら、その“しつこさ”故に
執拗な嫌悪描写で原作を再現してくれる期待も高まる。
が、父親からの執拗な嫌悪描写はあれど、住田自身の
内面を表現するにはしつこさに欠け、精緻な心情の
機微も窺えなかった。終盤に限り、だが。

特に、ラストの“失望”“絶望”からの“希望”への変遷が
丁寧さに欠けては分かり辛く、都合の良さすら感じてしまう。
「このラストしかないと思った」「希望に負けた」という
監督の言葉は、小粋でもっともらしいながらも少々胡散臭い。

一つの悪も成敗出来無かった住田が、茶沢の待つ自宅へ帰る
辺りから、いちいち行動の動機に疑問が生じてしまうのだ。
悪意塗れの描写は過剰なのに、住田の言動に希望が生じる
心情の描写は浅く、そのプロセスは取って付けた様に見える


第68回ヴェネチア国際映画祭にて、最優秀新人俳優賞
(マルチェロ・マストロヤンニ賞)
をW受賞した住田役の
染谷将太と茶沢役の二階堂ふみの熱演は本当に素晴らしい。
二人の役者の個性の、魂のぶつかり合いは雰囲気抜群で
迫力満点で受賞したのも頷ける。(←何様!?)
審査員長を務めた映画監督ダーレン・アロノフスキー
「染谷・二階堂の演技は情熱と感情ではちきれんばかり」
との評は、本来は情熱を持ち合わせていない住田の、作品の
改変を否が応にも感じさせるものであった。
にしても「青春がスクリーンで爆発しているようだった」
という評論はカックイー、自分も使いたい(笑)

要するに、改悪とは行かないまでも、“東日本大震災”
盛り込んだ事もあってか、内に籠った徹底的な「個」の
憂鬱という“ヒミズ”らしさが欠けてしまい、改変された
ラストの希望路線も後付けっぽく説明不足にも感じる

himizu03.jpg

それを言うと、原作での住田の名言を、茶沢が語録
として壁一面に貼り付けていた場面から違和感が有る。
それを映画内で吐いてのける姿こそ見たかったのだが。
暗欝なる住田の“ヒミズ”らしさもより感じられた筈。

もっとも、個人的にも好きな原作に於いても、単行本の
ラストは雑誌連載時から改変されたものであり、受け入れ
難いものであった。
只管堕ち行く物語で自殺エンドという後味の悪さは良い。
が、雑誌掲載時の茶沢の「何それ?」というラストカット
方が、“間”も有ってニヤリとさせる腑に落ちる締め方だった。
まあこれは人の好みの問題かもしれないが。

そこで思い出されるのが、園子温の前作『恋と罪』である。
それに於ける“「わからん」オチ”は、雑誌連載時の
ラストに重なる小粋な締め方であった。
『ヒミズ』を希望オチ改変したので、『恋の罪』の方で
採用したという事か。個人的にはそう見受けられる。

そんな園子温らしい演出が、フランソワ・ヴィヨンの詩。
『愛のむきだし』に於ける「聖書絶叫読み上げ」の様に。
『恋の罪』に於けるの「田村隆一の『帰途』PR」の様に。

住田は物事を、周囲を俯瞰で見る事が出来る。
が、自身を客観的に見る事は出来ずアインデンティティーの
危機に陥っては自暴自棄な行動を取っていると言えるだろう。
そしてそれにより、後先の事を考える余地が無かった。
その事をストーカー・茶沢により気付かされる。
それを、殺人を犯したヴィヨンの詩で示したのだろう。

ただ、やはり執拗で過剰で、リアリティーから逸脱した場面。
茶沢の再三の朗読から、逆に住田が言ってのける場面では
「何時の間に暗記したん!?」と思わず笑ってしまった。
『恋の罪』でも、許容範囲ではあったが過剰な詩人押しは
鬱陶しくもあった。

そしてもう一つ残念な事が有る。
茶沢の壊れた家庭のエピソードの終着点を描かなかった事だ。
住田一人の物語では無くなっている以上、というよりW主演
とも言うべき存在感を放つ茶沢をもっと掘り下げるべきだ。
でなければ、逆にもっと削ってもいい。

himizu04.jpg

役者陣は勿論、キャスティングは文句無しだった。
というか、住田家の土地(?)に住むホームレスが“チーム
『冷たい熱帯魚』”
というファンサービス(!?)は笑えた。
勝手にパラレルワールドとして受け取っても楽しめる部分。
この世界の社本夫婦には愛が在るんだもん(笑)

そして何と、窪塚洋介が出ているのだ!
自ら「冷やかし程度の役」とか言っていたので期待して
ガッカリしない様、大した出番は無いものと思っていた。
が、意外にも1エピソード出てて単純に嬉しかった(照)
一ファンという事を抜いても、そんな少しの出番で
存在感を発揮しては印象強めの窪塚洋介、流石。

絶望を描いては生きるか死ぬかの本編。
いっその事、エンディングで卍LINE(窪塚洋介)の
魂の叫び『IKIRO』を流して欲しいくらいだった。
宣伝文句の「魂を揺さぶる」にも合っているしね!?

逆に、というか吉高由里子の余りのチョイ役ぶりに驚き。
『紀子の食卓』に出演していたとは言え、何故彼女を
出したのか、何故彼女も出たのか。ワケワカメ(笑)
それを言ったら、『愛のむきだし』に出た西島隆弘
まだしも、鈴木杏のチョイ役ぶりもワケワカメ(笑)
出演の経緯が気になる所である。
それだけ力の入った作品だったという事か。

himizu05.jpg

そう言えば、園子温「キムタク批判」をしたと
ホンノリ話題になったが、記事を読めば、それは
企画で勝負しないキムタク頼みの日本映画への批判。
(因みに、芸人の映画監督は認められないらしい)

だが、本作で住田が『世界に一つだけの花』批判を
した瞬間、「監督はホントに嫌いなの!?」なんて
思っちゃった(笑)

ただ、始めこそ、暑苦しい教師の熱弁による
「オンリーワン思想」を欺瞞的に感じさせては、
最後はその言葉をそのまま使って感動的にする。
注目すべき演出の妙が有り、単純に「おぉー」って思える。

やたら個性だ個性だと言う現代、個性が無い方が
当然
なのに、“自分探し”の旅という現実逃避
したり、「オンリーワン思想」に浸って欺瞞者に
なる
のはやはりどうかと思う。
それでも、例え明らかな綺麗事であったとしても、
それに癒される事も有るのだと示しているのだろう。

ただ、どうしても面白いが故に、個人的に園子温
好きなだけに、期待値も上がっては厳しい目になり、
評価としては限りなく7に近いながらもギリギリ6。
が、個人的にカッケェー窪塚洋介に星一つで7(笑)

判決、無罪
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

スケ♪

Author:スケ♪
映画大好き、感想言いたい!
…というワケで(!?)
気ままに映画批評なエブリデイ!
折角だし裁判という形で行こう!

満足度は10段階の評価です。
有罪、無罪の判決をします。。
あくまでも一個人の戯言です。。。

個人的に好きな“お笑い”であったり
“hide”“Marilyn Manson”に例えて
語る事も有ったり無かったり…

●好きな映画監督
園子温(変態っぽい)
中島哲也(徹底してる)
クエンティン・タランティーノ(オタク)
●好きな役者
窪塚洋介(怪演王子)
ジョニー・デップ(昔はアウトロー)
エマ・ストーン(フツーに可愛い)

最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アフィリエイト・SEO対策
国内格安航空券サイトe航空券.com
健やか総本舗亀山堂
12カ国語達人のバイリンガルマンガ
英会話スクールWILL Square
無料コミュニティNOEL
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。